2006年 算数オリンピック ファイナル
こんにちは。
図形問題の解説を趣味で書いているのですが、近々Youtubeで動画にしたほうがいいんじゃないかと思い始めました。
環境の準備ができたらブログと並行してYoutubeの方も始めたいと考えています。
Youtubeの解説動画といえば鈴木貫太郎さんという人のチャンネルがオススメです。
主に大学入試問題から抜粋している方ですが、時たま魚をさばいたりラーメン作ったりする動画をあげていて面白いです。もちろん解説もわかりやすいです。
では本題に入りましょう。今回もまた算数オリンピックからの出題です。
地方予選で好成績を残したファイナリスト達でさえ正答率が5%だったらしいです・・・
そんなモンスター級の問題を見ていきましょう。
今回は今までとは毛色の異なった問題ですがじっくりチャレンジして見てください!
【問題】難易度:★★★★★
下の図のように、長方形ABCDの各辺上に頂点を持つ四角形PQRSがある。
辺の長さや角度に関して図に記入されている情報がわかっている時、四角形PQRSの面積は何㎠か?
【解説】↓
YouTubeに簡易版の解説を載せてみました。(2020/07/18)
詳しい解説はいらないや!という方はこちらをご覧ください。
【解けたら天才!?】算数オリンピック 2006年 ファイナルの超難問!
いつものようにフレームワークに当てはめて考えていきましょう。
第一歩”【鉄則その1・図は自分で描く】”。
今回の図をうまく(正確に)描くのは非常に難しいです。辺の長さも飛び飛びですし、角度もあまり与えられていません。
長方形から描いてしまうと高確率で失敗し、この後の思考過程に影響を与えてしまいます。
参考までに私が図を描いた時の手順をご紹介します。
- 三角形QCRを描き、45°の方向に直線を伸ばします。
- 辺QPを適当な方向に引き、Pから直角方向に直線を伸ばします。
- 1と2で引いた2直線の交点をSとし、直角三角形の辺CQとCRを基準にして長方形ABCDを完成させます。
この手法だと三角形ASPの大きさが問題設定と違ってしまうかもしれませんがそれは構わないでしょう。角度に関する特徴が再現されていれば概ねOKです。
特徴量が集中しているところから描くようにすることは他の問題でも共通している点です。
では次のステップ"【鉄則その2・数値を書き入れる】"です。
与えられている情報からでは他の辺の長さは求められません。そして、角度に関してもこれ以上具体的な数値を当てはめることは難しいように見えます。
下の図のように角度に青・赤・緑の 印をつけておく程度にとどまります。
各色全て●+▲=90°になっていることとに注意しましょう。
ここで、青色の印がつけられている三角形が2つ(三角形ASPと三角形BPQ)ありますから、これらは相似です。
よって、下の図のように辺の長さの比の情報が追加できます。
他に相似な三角形は無さそう(現段階で相似と判断できるものがない)ので次のステップ”【鉄則その3・関連性を探る】”です。
この問題で明らかに意味深な数字が一つだけあります。そうです。45°です。
こいつをどう料理するかが問題なのですが、45°と聞いて真っ先に思い浮かべる図形は直角二等辺三角形ではないでしょうか?
ではとりあえず直角二等辺三角形を作り出して見ましょう。
赤い角度の印に注目して見ましょう。直線上に斜めに90°が入り込んでいる状況既視感ありませんか?
そうです。直前に見ていた三角形ASPと三角形BPQの関係とそっくりです。
これをヒントにして下のように補助線を書き入れましょう。
すると、長方形の中に直角二等辺三角形が入り込んでいる図が得られます。そして青い三角形は同じ形なので辺の長さの情報もドンと増えます。
ちなみにこれは一般的に、下の図のような状況下で直角二等辺三角形を作り出すことができることが背景にあります。中学入試なんかでもたまに出てくるので覚えておいて損はないです。
話を本筋に戻します。
太線で囲んだ大小2つの直角三角形は相似なので辺の長さの比がわかります。
よって、長方形ABCDのタテとヨコに関して以下の関係式が成り立ちます。
上の式から、下の式を2倍したものを引き算することで、
となり、辺の長さ全てが明らかになりました!
あとは長方形の面積から周りの三角形4つの面積を引くだけの簡単なお仕事。
計算すると、(四角形PQRSの面積)= 68.5 ㎠ となります。
こういうパズルチックな問題もよく出題されます。
友人数名にもこの問題を出して見ましたが、補助線の引き方は人それぞれで興味深かったです。自分が考えもしなかったような補助線を試していました。
試行錯誤をして正解にたどり着いた時の喜びはひとしおです。
では今回はこの辺で。おやすみなさい!