2011年 算数オリンピック ファイナル

こんにちは。

 

みなさん算数オリンピックをご存知ですか?このブログでも扱っているから名前は知ってる。という方も多いでしょう。

算数オリンピックはこのブログで扱ってる図形問題以外にも様々な問題が出題されます。場合の数(何通りですか?ってやつ)や試合の推理問題、特殊演算(虫食い算など)、整数問題、ゲーム問題など様々です。

 

共通して言えるのは、非常によく練られている良問だということです。正解を導き出すまでの思考体力も並大抵のものではありません。学校のテストのように教科書の数字をちょっといじっただけのような問題は出ません

算数オリンピックのような問題を楽しいと感じるような子供(もちろん大人でもOK)が増えたらいいなと思っています。大人にとってはいい脳トレになると思います。

 

今回は前回の続き(別解)に入る前にそんなよく練られた図形問題をご紹介いたします。自分も正解を導くまでに苦労しました。前回の問題より問題設定が意味不明です。よって最高難易度をつけました。

 

【問題】難易度:★★★★★+

 面積が18 ㎠の四角形ABCDについて以下の性質かがわかっている。

  • 対角線ACを引くと、三角形ABCは角ACB=90°の直角三角形
  • 対角線BDの長さは10 cm

このとき、三角形ACDの面積は?

 

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【解説】↓

 今回の図は問題文の下に書いておきました。図を描くのはさほど難しくはなかったと思います。直角二等辺三角形を基準にして、頂点Dの位置をいい感じにとれば良いでしょう。これでスタートラインはクリアです。

 

 お次は【鉄則その2・数値を書き入れる】 のフェーズ。しかし、パッと見てわかるのは45°くらい。

長さが与えられている辺同士の位置関係もよくわからないし、直角二等辺三角形の等辺の長さもわからないし、それ以外の角も全てわからない。(もはや45°すら役立つのか不明)

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気を取り直して【鉄則その3・関連性を探る】のフェーズ。

問題の指示は「面積」を求めることです。2000年 算数オリンピック ファイナル 第4問の記事でも少し触れましたが、面責を求めるには「長さがわかっている2本の直線(線分)」が基本的に必要です。

 

しかし、見ての通り、長さがわかっているBDとCDの位置関係は明らかに直角ではない。そうなると、手段は一つ。

自分で直角を生み出すことです。(算数オリンピックでは頻出テクニックですね!)

 

そして、与えられている情報をフル活用するには、むやみやたらに垂直な線を引くことは避けるべきです。前述のように「長さがわかっている」ことが前提です。

 

御託を並べても先には進まないので結論を言ってしまうと、「もともとある図形を90°回す」ことが有効です。

ピンとこない人は下の図を参考にして見てください。どこか回転中心を決めて90°回せば(長さなどの情報を保ったまま)直線を直交させることができます。

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本問の図で四角形ABCDを90°回転させた図がこちらです。赤同士緑同士、それぞれ2本の線分が直交しています。

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これらの直交を活かして面積を求めるには下のように補助線を入れることが有効です。

赤線の方は明らかに直角二等辺三角形が見えるのでことらの補助線の発想は難しくないでしょう。

 

そして、三角形BCFに注目すると、三角形CEFと底辺の長さと高さが同じなので、

(三角形BCFの面積)=(三角形CEFの面積)=(三角形ACDの面積)

となります。図では同じ色を塗っておきました。つまりこれら3つのうちどれか一つを求めることができれば良いのです。

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ここで、面積に関して以下の足し算が成立することに着目します。

緑の四角形ABFDと直角三角形CDFと四角形ABCDは面積がわかっている(or簡単に求められる)ことを利用するためです。

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よってこの関係から三角形BCFの面積が得られることがわかります。前述のようにこの面積が求めるべき面積と同じなので、

 

(三角形ACDの面積)=(三角形BCFの面積)=50ー24.5ー18=7.5 (㎠)

 

となります。

 

この問題、本番ではどのくらいの小学生が解けたのかはわかりませんが、ファイナリストでさえ苦戦したことは確実でしょう。作問者おそるべし。

 

自分もいつかこれくらいの問題を作れるように精進します。お楽しみに。