2013年 灘中学校 11問目 【その2】

ご無沙汰しております。1週間ぶりの更新となります。

熱し易く冷め易い悪い癖が出てしまいました。

気を取り直して更新頻度を上げて行きます。今後ともゆるくお付き合い願います、、、!

 

 

今回は前回"2013年 灘中学校 11問目 【その1】"に引き続き第2弾です。前回がサッパリしたいわゆる”ひらめき”の解答であったのに打って変わり、今回はそのスマートな解答にたどり着くまでの思考過程を含めて解説したいと思います。

 

久しぶりの更新で前回の内容忘れちまったという人は恐縮ですが、前回記事を読んでいただけると嬉しいです・・・すみません。

 

では問題を見て行きましょう。

今回は図形からしっかり描いて欲しいので、問題は文章化しておきます。悪しからず。

 

【問題】難易度:★★★★☆

角Cが直角であるような直角三角形ABCがある。斜辺ABの中点をM、辺BC上のある点をDとする。この時、角CAD=15°、MD=AC=5cmを満たしているという。

以下の問いに答えよ。

 

(1)角ADMは何度?(図の?のところ)

(2)BDの長さは何cm?

 

 

【解説】↓

ではいつも通りステップごとに見てゆきましょう。まずは”【鉄則その1・図は自分で描く】”のステップ。

 

みなさんこの下のような図をいい感じに描くことはできましたか?

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直角三角形ADCは斜辺の長さと角度が与えられているので描きやすいと思います。(細長いことを除いて・・・)

 

そして、直角三角形ABCが難関です。

とりあえず描いてみて、斜辺ABの中点Mを打つこと、そしてMとDを結ぶことは容易でしょう。

しかしここで問題発生です。MD=5cm。つまりMD=ACと(見えるように)なりましたか?

よっぽどうまく頂点Bを定めた人以外はビミョーな感じになってしまったと思います。つまり、この問題を特徴付ける量はMD=AC=5cmということが予想されます。

 

ですから、この特徴をしっかり実現できる図になるように調節して書き直してみましょう。これができたら次のステップです。

 

ステップその2”【鉄則その2・数値を書き入れる】”。

正直、この問題は必要な数値が問題文に出きってしまっているので、補助線なしでは、角ADC=75°であることやMD=ACを強調することくらいしかできませんね・・・。

強いていうならば、下の図において●+×=90°ー15°=75°となっていることくらいでしょうか。

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早いもので”【鉄則その3・関連性を探る】”のステップ。

ここから情報を掴み取って行く作業になります。問題に与えられている条件はごく稀なケースを除いて問題を解くのに必要な情報です。 

 

先ほど、この問題のキーはMD=ACであると書きましたが、現状のままでは位置関係も複雑なので扱いづらいでしょう。なので、まずはMがABの中点であることから何か読み取れないかと考えます。

図形問題で中点というと以下の2通りの利用方法が考えられます。

 

  • 中点、つまりその点を境に長さの比が1:1になっている
  • 中点の両側で同じ長さになっているので「同じ長さをくっつける」が使える

 

図形問題で辺の長さの比が出てきたときは面積比を考えるか、平行線を引いて同じ比を作り出すか。方法はいろいろ考えてもキリがないので思いついた方法全部試してみましょう。

 

具体的には、

  • Mから辺BCに垂線MHをおろす(MHとACが平行になる)
  • 三角形MBDをくるっと回転させて引っ付ける
  • 三角形MDBと三角形MDAの面積比が1:1

です。下の図のように読み取れる値や記号は記入しておきましょう。

MHとACが平行なのでMH=2.5cmであることや、●+×=75°が具体的な値として出てくるので有り難みが大きい気がします。

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さて数値もいろいろ出てきましたので、問題を振り返りましょう。

まず、(1)の要求である?の角度ですが三角形ADD'に注目すると、角AD'D(または角MDB)の角度がわかれば求めることができそうです。

(2)のBDの長さはAD'の長さに一致します。

つまり、三角形ADD'の性質がこの問題の行く末を握っているように感じます。と同時に、この方針では面積比は一旦保留になります。(実は面積比を利用しても解けますが割愛。)

 

さてここで次の定量的な情報である平行線と比の関係から出てきたMH=2.5cmに着目します。

すると、直角三角形MHDは正三角形を半分にしたものであるとわかります。つまり、角MDH=30°です。ここでMD=ACが強く効いていますね!

 

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 よって移動先である角AD'Dについても30°となり、=180°ー30°ー75°=75°

とめでたくもとまりました。

すると、なんと嬉しいことに三角形ADD'は二等辺三角形になります!!

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よって、AD'=DD'=10 cm。つまり、移動元であるBDの長さはBD=10 cmとなります!

 

いかがでしたか?スマートな解答の陰には試行錯誤と仮説検証がたくさん潜んでいます。

このような思考過程を綺麗にまとめると前回のようなシュっとまとまった解答になります。図形問題はいろんな試行錯誤の過程で面白い性質に気付けたりすることが醍醐味だと思います。

 

このブログを通して。図形に親しみを持ってくれる方が増えて欲しいと思います。では。