2009年 ジュニア算数オリンピック ファイナル

こんにちは。

図解ヤー見習いdrummanです。(図解ヤーとは?って人は"2000年 算数オリンピック ファイナル 第4問"参照)

 

図解ヤーについて述べた記事で紹介した算数オリンピックの問題いかがでしたか?

かなりややこしかったと思います。(昔なだぎ武のややこしやっていうネタ好きだったなぁ・・・そんなことは置いといて)

 

いわゆる「ひらめき」をなるべく論理的に”思考過程のストーリー”として書くのはとても難しい・・・精進します。

 

さて、今回はジュニア算数オリンピックからの出題です。

前回のものと比べてかなりシンプルな図の設定ですので、考える気が湧くというものでしょう!(フラグ)

 

今回はヒントを出しておきます。「90°を見つける(作り出す)」です。

 

では早速見ていきましょう。

 

【問題】難易度:★★★★★+

下の図のような三角形ABCは面積が15㎠、AC=9.5cm、BD=DC、角ADC=135°を満たしている。この時、辺ABの長さは?

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【解説】↓

 YouTubeに簡易版の解説を載せてみました。(2020/07/24)

詳しい解説はいらないや!という方はこちらをご覧ください。


【超絶鬼畜】ジュニア算数オリンピック 2009年 ファイナルの超難問

 

今回の解説は大まかに僕の思考過程に沿って解説しますので、途中でちょいちょい寄り道しています(正解にまっしぐらなんてのは難しいことなんです・・・)。本当はここに書く以上に寄り道してますが、ただでさえ長い記事がもっと長くなっちゃうので割愛。

 

まず、この問題を見たときの僕の第一印象。

「自分で図が書きにくいし、面積15なのに9.5って親和性低っ!」

 

またしても与えられる定量的な情報が少なく図が描きにくいですね。

今回は比較的扱いやすい135°とBD=DCを基準に図を描くことが無難でしょう。

図を描くコツというのも、描けば描くほど皆さんの血となり肉となります。

 

第一歩"【鉄則その1・図は自分で描く】"をクリアしたところで、"【鉄則その2・数値を書き入れる】"に移りたいところですが、これ以上具体的な数値を書き入れることは困難。

藁にもすがる気持ち程度で角度の情報くらいは書いておきましょうか。

 

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さて、苦し紛れの第一歩が終了。次は"【鉄則その3・関連性を探る】"

 

カンの良い僕はBD=DCだから三角形ABDを回転させて引っ付けちゃえ!って考えました。(フラグ)

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とりあえず思いつくまま移動させました。

 

しかしどうでしょう?

これでは135°(45°)という貴重な情報を直線の中に埋め込んだままになっていて、あまり嬉しくない!一旦この策はペンディング

 

さあどうしよう。

別の関連性といえば、45°があるから直角二等辺三角形や正方形が親和性高そうだ。

と考えました。

AからBCに向かって垂線を下ろして、その足をHとすれば直角二等辺三角形AHDができるけど。。。試してみよう。(すっかり自分のカンに自信喪失)

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確かにヒントで出した「90°を見つける(作り出す)」もクリアはしている。だがしかし、HBという余計な成分が出てきてしまって、BD=DCという重要な条件を殺してしまっている。

 

 

 

うーむ・・・

 

 

 

算数オリンピックで頻出の「同じ長さくっつける」「無理やり90°を作り出す」ですぐ思いつくものは試した。

 

ここでまた図形とにらめっこ。

 

まだ気づいてない「同じ長さくっつける」「無理やり90°を作り出す」があるというのか・・・

とここで先ほどの三角形ABDを回転させた図を見る。

 

もしこの図からスタートしていたらAD=DEと捉えられる。しかしこの状態から同じように回転して戻しても振り出しに戻る。

 

ここは思い切って逆向きにひっつけて見るか。

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ちなみにFはBの移動先です。

 

イビツな四角形AFDCが爆誕したわけですが、これは問題文を以下のように言い換えられます。

 

【問題】

上の図のような四角形AFDCは面積が15㎠、AC=9.5cm、AF=DC、角ADC=135°、角DAF=45°を満たしている。この時、辺FDの長さは?

 

ここが出発点だったなら皆さんどうしますか!?

僕なら、AFとDCをくっつけたくなります。しかしひっつけ方は2通りあります(A=C、F=DのパターンとA=D、C=Fのパターン)。

 

この状態がスタートならまだ角度の情報つかってないですよね。頂点Aに集まる角度を考えてみましょう。

 

  • A=C、F=Dのパターン:ア+45°+135°+ウ=180°+ア+ウ
  • A=D、C=Fのパターン::ア+45°+イ=90° (ア+イ=45°だから)

 

ア+ウはつまり元々の図の角BACに相当するので、ここの値なんてわかりません。断然後者の方がありがたみが深い!

ではA=D、C=Fのパターンでくっつける!(完全に自信復活)

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ここで、角GFD=360°ー(135°+ウ+エ)=90°となる。これはめちゃめちゃ嬉しい!

 

そろそろこの問題の全貌が見えてきた。

上のままではイビツなので、もう一工夫。

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な、なんと4つくっつけると”外側に一辺9.5cmの正方形”"内側に一辺がFD(もといAB)の正方形"が現れたではないか。

 

よって、

(内側の正方形の面積)=9.5 × 9.5 − 4 ×(四角形AFDCの面積)=30.25 (㎠)

 

したがって、一辺の長さ(つまりABの長さ)は 5.5 cm とわかります!!

 

 

いかがでしたでしょうか?

泥臭く"【鉄則その3・関連性を探る】"を繰り返すことの重要さが伝わったと思います。

 

シンプルな見た目に反して、正解を得るまでの試行錯誤は半端なく大変ですよね。

というかどうやってこんな問題作るんですかね・・・

これを解いてしまう小学生にも、作問者にも脱帽です。

って思ったら、これ正解者いなかったらしいです・・・笑

 

解いて疲れ、書いて疲れ。ダブルパンチでどうやって記事を締めくくれば良いのやら。

次はもっとトントン拍子に進む問題持ってきますね。

 

2回にわたりヘビーなものを持ってきてしまい反省してます。笑

では、おやすみなさい。お疲れ様でした。