2000年 算数オリンピック ファイナル 第4問
こんにちは。
「晩飯に寿司食いたいなぁ」って思ってたら刺身がでてきました!ニアピン!
当ブログではすでに何回か図形問題を解説してきたわけですが、図を用いてわかりやすく物事を説明する人のことを”図解ヤー”というらしいです。初耳。。。!
僕の図解が皆さんにとってわかりやすいかどうかはわかりませんが、これから精進させていただきますので温かく見守っていただけると嬉しいです!
というわけで、今日から僕は”図解ヤー”を名乗っていこうと思います!!笑
さて、今回は前回の宣言通り灘中学から一旦離れて「算数オリンピック」から出題したいと思います。
前置きしておくと今回の問題は尋常じゃなく難しいです(少なくとも僕にとっては超難問)。図を正確に描く(トレースする)のも不可能に近いレベルで難しいし、発想も初めて見たときはイカれてるんじゃないかと思いました。
もちろん解説読む前にチャレンジしてみることは推奨します!ただ、わからなかったらすぐ解説見てください。
「思考過程の確認・理解」と「発想力の引き出しに追加」くらいの温度感でいきましょう。
【問題】難易度:★★★★★+
下の図のように三角形ABCの内部に正方形PQRSが内接している。AP=7cm、PB=6cm、AR=9cm、RC=2cm、BQ=QCを満たしている時、正方形PQRSの面積を求めよ。
【解説】↓
YouTubeに簡易版の解説を載せてみました。(2020/07/18)
詳しい解説はいらないや!という方はこちらをご覧ください。
【伝説級の難問】算数オリンピック 2000年 ファイナル 【正方形の面積】
まず皆さん、問題の図をいい感じに描く事ができましたか!?僕はかなり苦労しました。
BQとQCの長さわかってれば描きやすいものの与えられておらず。きっと複雑な数値なのでしょう。。。
先に言ってしまうと、この問題のミソは正方形PQRSとBQ=QCなので、この2つが実現されている図であれば考え方には特に支障は出ません。この2点を抑えてスタートライン【鉄則その1・図は自分で描く】は突破。
さーて、その次は【鉄則その2・数値を書き入れる】ですね!
初期条件は問題の図に書き込んでしまったので、何か読み取れる情報があれば書き込んでいきたいところ。
・・・
・・・・・
え?正方形の4辺の長さが等しいことくらいしか書く事ない(涙)
強いて言うなら、三角形の辺の比がわかってるから面積比はわかりそう・・・。
さすが算数オリンピック。一筋縄ではいかない。では一足飛びで【鉄則その3・関連性を探る】のフェーズ。
今回問われているのは”面積”です。
三角形や平行四辺形、台形であれば底辺と高さ。長方形(正方形)であればタテとヨコ。ひし形(正方形)であれば2本の対角線。
これらの長さがわからないと基本的には面積は出せませんよね?
ここで需要なのが面積を決定するための2つの長さは垂直の関係にある事です。
つまり、この図の中から垂直、つまり90°を何とかして抽出したくなるわけです。
目に見えてわかる90°は正方形の角ですが、ここには長さの情報が何もないのでスルー。
ではどこに?
2011年 灘中学校 11問目や2010年 灘中学校 10問目で紹介したように、足し合わせて目的の角度を作るワザは頻出です。今回もここでそのワザを使うと、下の図でア+イ=ウ+エ=オ+カ=90°となる事がわかります。ここにすがってみることにしましょう。
ここで、角度が離れたまま90°があっても先には進まないので、図形を移動させて角を集めましょう。
三角形PBQをPを中心として回転、そして三角形QCRをRを中心として回転させます。ここでBQ=QCが威力を発揮します。詳しくは下の図で確認して見てください。
すると、四角形APTRの面積は2つの直角三角形の面積の和になるため、
(四角形APTRの面積)=(7×6+9×2)÷ 2=30(cm2)
と求められる。
しかしここで疑問が。「ん?求めるのは正方形PQRSでは・・・?」
そうなんです。このままでは何が何やら。”求められる面積だけ求めちゃいました”状態。この値をなんとか正方形PQRSの面積に結びつけたい・・・
ここで、冒頭近くで触れた「面積比」にすがってみよう。
面積比を考える基本は”三角形に分割”でしたね。(関連:2016年 灘中学校 8問目)
なので、下の図のように補助線と領域ごとの記号を導入。
- (三角形PBQの面積)・・・a
- (三角形QCRの面積)・・・b
- (四角形APSRの面積)・・・d
- (直角二等辺三角形PQRおよびPRSの面積)・・・c
三角形ABCの面積を(7+6)×(9+2)=143として捉えると、
- a=143 ×(6 / 13)×(1 / 2)= 33
- b=143 ×(2 / 11)×(1 / 2)= 13
- c+d = 7 × 9 = 63
- c =143 −(33 + 13 + 63)= 34
- d = 63 − 34 = 29
と、それぞれ計算ができる。これはうまくいきそうだ。
先ほど登場した四角形APTRの面積は a+b+d =75 であり、求めるべき正方形PQRSの面積はc × 2 = 68 である。
ここで注意すべきは、これらは実際の値ではなく、全体を143と捉えた時の相対的な値であること。
つまり、(四角形APTRの面積):(正方形PQRSの面積)=75:68
以上をまとめて、
(正方形PQRSの面積)=(四角形APTRの面積)×(68 / 75)
= 30 ×(68 / 75)= 27.2 (cm2)
となります。
どうでしょうか。かなり難しいしやはりイカれてる・・・
「これだけ多くの思考(試行)過程を素早く済ます」=「ひらめく」と言っても過言ではないでしょう。裏を返せば、ひらめきは天から舞い降りてくるものではないってことです。
経験を積むことによって、あたかも「天から舞い降りた」と思うようなワザをなすのです。
カッコよく(?)キマったので今回はここらでさようなら。お疲れ様でした。